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不動産投資は安易に出を出すと痛み目を見て家を売ることになる

ワナの第一は、不動産「投資」という呼び方にも潜んでいます。とりわけ実物不動産への投資は、「投資」というより「事業」であるという点です。不動産に対して資金を投じるだけでなく、事業として向き合っていかなければならないのです。投資と事業の差を説明しましょう。投資であれば、資金を投じた後、投資対象の価値を高めるために何かをやらなくてはいけないということはありません。これに対して、事業は違います。価値を高めるために働き掛けていく必要があります。

投資の一例として、株式を考えてみましょう。株の価値を左右するのは、企業業績や財務内容です。株に投資した投資家は手の出しょうがありません。いくらもがこうが、企業業績や財務内容には影響力を及ぼしようがありません。

ところが、事業であれば違います。その事業がもたらす収益は事業家の手腕にかかっています。事業の抱えるリスクに備えながら、収益性を高めていくことが可能です。不動産投資はまさに、この事業の側面を持ち合わせています。それだけに、手間が掛かるのです。それを意識しているのか、アパート・マンションへの投資の場合にはよく、「アパート・マンション経営」と言います。経営とはまさに事業を営むことです。昔ながらの貸家業は、そこがしっかり認識されています。しかし、そこを意識しないままにアパート・マンション投資に乗り出すと、手間の多さに閉口するはずです。思いのほか手間が掛かる、これこそ、不動産投資に潜むワナの一つなのです。

不動産投資の手間

では具体的には、どのような手間が掛かるのでしょうか。それは、不動産投資というものの特性と密接に関係しています。
不動産投資の収益がどこから得られるのかを考えてみましょう。収益をもたらすのは、不動産を借りる借り手です。不動産が提供する価値に対して、その借り手が対価を支払ってくれるからこそ、収益がもたらされるのです。不動産を保有しているだけでは、決して収益は生まれません。借り手をつけなければいけないのです。つまり、投資家は不動産と借り手をともに相手にする必要があるわけです。ここに、不動産投資に手間の掛かる原因の一端があります。

手間の一つは、借り手の募集・管理です。家賃を支払ってくれる借り手を募らないことには不動産は一円の収益も生みません。しかも、いったん借り手がついたとしても、その借り手がずっと借り続けてくれる保証はありません。事情があって退去すれば、その後、不動産を再び貸し出せるように、クリーニングしたり、場合によっては補修したりする必要も生じます。そしてまた、借り手を募らなければなりません。

もちろん、これら日常のこまごました作業を自らやろうという投資家はまずいません。一定の費用を投じて、不動産の賃貸仲介や管理を業とする不動産仲介・管理会社に委託するのが普通です。手間はコストに置き換えることができます。

ただ、投資家としてどの会社に委託しても同じということはありません。会社によってコストパフォーマンスには差がありますから、低コストで高パフォーマンスを挙げられる会社に委託しないと、せっかくの収益が損なわれてしまいます。
事務手続きやクリーニングなど作業と言ってもいい業務はパフォーマンスにそう大きな差は生じないでしょうが、借り手を募って家賃を支払ってもらえるようにするという業務はどうでしょうか。賃貸仲介業務のノウハウに左右されるので、会社によってパフォーマンスに大きな差が生じるはずです。
だからこそ、不動産投資を勧める本でも、手間を肩代わりしてくれる不動産仲介・管理会社選びを、投資に失敗しないためのポイントの一つに挙げているのです。しかし、その点が不動産投資で失敗しないためのポイントの一つであることは理解できても、実際に低コスト・高パフォーマンスの会社を選べるかは別問題です。そういう意味ではここにも、不動産投資の難しさが潜んでいるのです。